話の前提を共有する

今回は、コミュニケーションの前提についてお伝えします。

 

アメリカの心理学者が、コミュニケーションに関する実験をしました。どういう実験かというと、二人一組になって、一方が手で机を叩いて相手に曲名を知らせるという実験です。実験する前は、かなりの人が曲名

は当たるだろうと思っていたそうですが、結果は大外れだったそうです。相手に対してただ手で机を叩くだけでは、曲名は、全く伝わらなかったのです。

 

私もこの実験を知って、数年前の講師研修で、参加してくれた15名の講師たちにこの実験と同じようなことを行ってみました。まず、シンプルな曲の「さくら」を、机を叩いて聞かせてみました。なんと1名の講師が正解でした。その他の14名は、全く曲名すら思いつきませんでした。続いて、スマップの「夜空ノムコウ」を叩きましたが、誰もわかりませんでした。誰からも曲名すら出てこなかったのです。そこで、「今の曲は、スマップの曲です」とヒントを与えてみたら、数名の講師が、すかさず答えを言ってくれました。

 

この実験で分かったことは、コミュニケーションを理解するためには、理解する前提なり、理解を助ける文脈が大切だということです。自分だけで思っていることは、子どもには全く分からない可能性があるのです。ですから話をする前に、相手に、話の前提を示さなくてはならないのです。前提文脈を、親と子どもが共有してこそ、話の理解が図れるのです。そのことを、この実験は教えているのです。頭の中に音楽が流れているからこそ、手を叩くだけで曲になっていくのです。もし、そういう音楽が頭の中に流れていなければ、手で机を叩く音と音楽が結びつかないので、曲にならないのです。

 

つまり、子どもと話す時は、子どもと前提を共有することです。子どもが理解する文脈で話をすることです。そうしなければ、スムーズなコミュニケーションは、図れないと思った方が良いのです。

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